楽しさの定義

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前回のブログ(誰が野球離れを止めるのか)を読んだ友人が「自分も少年野球チームに行っていた時期があったけれど、コーチの暴力と根性論が苦痛で毎週日曜が来るのがほんとうに嫌だった」と連絡をくれました。
野球自体嫌になり他のチームには移籍せずすぐに辞めてしまったとのこと。
地域によっては選べるチームもなく、チーム方針に疑問を持ちながらも、野球をやり続けるためにはそのチームに所属し続けるしかない事もあります。
今学童野球は始めるハードルも高く、続けるハードルも高いスポーツなんだと改めて思い知らされました。

ある広告代理店の挑戦

今年に入り、代表が野球好きということもあり親しくさせていただいている株式会社ティーループ(以下ティーループ)から「野球教室を開催するから手伝いに来てほしい」と依頼がありました。
ティーループはさいたま市にある広告代理店。…広告代理店が野球教室??
興味を持った私はスタッフとしてその企画に参加させてもらうことにしました。

野球教室開催の目的は『子供たちの野球離れを止めたい』。チームを作ることも考えたが、掛かる時間や費用を考えると難しく、出向型の野球教室なら広告代理店の強みを活かしスポンサーを集めることで、チームの負担なく実現できるのではないかとチャレンジを決めたとのことです。
テーマは『野球を楽しむ』。出向といった形式をとることでより多くのチーム・選手に『野球を楽しむ』マインドを届けることができます。

また、『楽しむ野球教室』を開催するにあたり、知人を介し埼玉西武ライオンズや千葉ロッテマリーンズ等で活躍したGG佐藤さんとお話しすることができ、ティーループが考えるテーマの講師として最適だと参加していただくことに。
・野球を楽しむためには何が必要なのか
・野球を楽しめないのは何が原因なのか
打ち合わせを重ねる中で4つの約束を決め、当日を迎えました。

ホームランを打つ意味

開始前のミーティングで今回はバッティングに特化した教室にする旨説明があり、選手たちがアップを終えるとGG佐藤さんから野球教室の説明等行われ、その後トスバッティングが始まりました。
全員が打ち終わると休憩を挟みホームランを打つための技術指導へ。
学年、体格関係無く全員がホームランを狙います。
GG佐藤さんに、なぜホームランに特化したメニューなのか理由を尋ねると回答はとてもシンプルなものでした。ホームランを打つと楽しいからーと。

私は学生時代ソフトボール部に所属していましたが、自身の体格からホームランを打ったことはもちろん、狙ったことすらありませんでした。
私のようにホームランを打つイメージを持っていなかった選手にとって、この体験がホームランを打てるように努力するきっかけになるかもしれないと、固定観念に囚われないことの重要性を感じました。
ホームラン指導後、再度行われたトスバッティングでは、ほとんどの選手がボールを高く遠くへ飛ばしていたのも印象的でした。

挑戦の先を見る

野球教室はその後、1人3球ずつの打球飛距離測定で盛り上がりを見せると、終盤では2チームに分かれGG佐藤さんが投手となり試合形式の練習が行われました。
約束通りヤジはなくポジティブな掛け声が飛ぶ中、私は試合前にGG佐藤さんから伺ったお話を思い出しました。
「人は小さい時から運動や勉強、それ以外でも競争することが求められる社会の中にいて、全てに勝っている人なんていなくて、いろんな場面で負けることが潜在意識にあるから、挑戦することが難しいんですよね。」
今心理学を学んでいるんだと、そんな話をしてくださいました。

そしてこの試合。目の前では三振した選手へみんなから「ナイススイング!当たったらホームランだったね!」走塁に失敗しても「ナイスチャレンジ!」そんな声が飛んでいます。ポジティブな言葉を受ければまた全力でバットが振れる、また次の塁を狙える。
チャレンジする精神は周りの環境で育むこともできるんだと感じました。

答えは自分自身の中に

最後にGG佐藤さんは選手たちに向け「毎日思えば願いは叶う」といったお話をされていました。
「僕は毎日身長が185cmになりたい、なるんだと、毎日毎日思った。毎日身長を測って毎日185cmになると。そうしたら中学卒業の日、いつものように身長を測ったら185cmになってたんだよ!」
GG佐藤さんが
「信じるか信じないかは…」と振ると、選手たちは「あなた次第です!」と声を揃え、笑い声に包まれる中野球教室は幕を閉じました。

GG佐藤さんはこの野球教室で「自分が教えていることは1つの方法で、それが全員にとって正しいかはわからない。いつもコーチが言っていることと違っていたかもしれない。コーチの教えが正しいかもしれない。」と言った説明をされていました。
『楽しさ』も同じではないでしょうか。
野球を楽しむためには大人が価値観を押し付けずに、楽しむための選択肢を柔軟に与えることが重要なのではないかと感じました。
どんなマインドを持って野球に取り組むと楽しいのか、1つの選択肢としてそれを押し付けるのではなく体感させてくれる、それは”1度きりの野球教室”だからこそできることではないかなと思います。

協力:株式会社ティーループ